システム英単語
概要
発売日 :2011年11月
著者 :刀祢 雅彦, 霜 康司
ページ数 :375ページ
ジャンル :英単語
対象レベル:☆☆ ~ ☆☆☆☆ (初~中・上級者)
特徴
大学受験における最強の英単語集。
これ一冊でセンターから東大京大レベルまで戦い抜ける、まさに当代随一の一冊である。
使用した受験生からも高い評価を受ける本書の特徴は、綿密な調査・分析による頻度主義、語法・熟語も抑える覚えやすい例文構成ミニマル・フレーズ、そして受験生が苦労する多義語への対策がなされていること、などが挙げられるだろう。
頻度主義
ひとつの英単語に、複数の意味がある――。辞書や単語帳でよく見る光景である。
そうした場合、「①の意味がよく使われて、③や④の意味で出てくることはあまりないのだろう」と考えがちだが、実はそうでもない。
意味の順番は、辞書や単語集によっては著者がなんとなくで決めているものもあり、ましてや受験単語集ともなると「実際の入試問題を分析して、頻度順に意味を並べる」ということが重労働なため、頻度順には並んでいない単語集も存在する。
だが本書『システム英単語』は、最新の入試問題のべ8,000回分を分析し、重要単語2021語を収録している。
中には「①の意味は76%、②の意味は15%の割合で出る」と細かな統計結果を載せてくれているものも存在する。
この「よく出る意味を、第一の意味に」「実際の統計結果を載せる」というのは受験生としては非常にありがたいものである。
余計な意味を覚える労力が省けるし、出現割合が可視化されることで記憶の重要性を認識できるからだ。
「意味が頻度順に並ぶなんて、当たり前じゃないか」と思われるかもしれないが、本書ほど精緻な調査を行い、実際の頻度を考慮したものは他に類が無い。
また、「よく出る意味を目立たせる」という効果は、後述のミニマル・フレーズとの組み合わせにより大きな学習上のメリットをもたらすのである。
ミニマル・フレーズ
本書を人気参考書たらしめた最大の特徴。
それが、ミニマル・フレーズと呼ばれる短文である。
“announce”という単語を例に挙げると、通常の単語帳では「announce :~を発表する」という淡白な書き方しかされていない。
しかし本書では、上記に加え「announce a new plan :新しい計画を発表する」というように、その単語を含む短文での記載がなされている。
これがミニマル・フレーズである。
ミニマル・フレーズのメリットは、まず「その単語が試験ではどのようなカタチで出るのか」ということが一目瞭然なことにある。
システム英単語は頻度主義を貫く。ゆえに、ミニマル・フレーズは、試験で最もよく見かける状態の短文になっている。
responsibility 「責任」であれば”take responsibility”(責任をとる)、role「役割」なら”play an important role”(重要な役割を果たす)など、高い確率で前後につく語も一緒に覚えてしまえるのだ。
このフレーズごと覚えるという学習法は、受験において極めて高い効果を発揮する。
どんな語が前後につきやすいかを記憶することで読解が容易になるし、語法も同時に学べる。
また、フレーズごと暗記できるので英作文の時に確実に正しい表現として使っていける。
単語によってはミニマル・フレーズが熟語・慣用表現になっているものもあるので、単語と同時にイディオムも習得できる。
このように、頻度主義を基にしたミニマル・フレーズという手法は、受験生にとって非常に効率の良い学習をもたらしてくれるのである。
多義語対策
近年、appreciate, address など、カンタンだが意味が複数ある単語、いわゆる多義語の重要性が高まってきている。
センター試験ではもちろん、難関大の読解にも高い頻度で登場し、正しく訳し分けないと大幅に減点を食らってしまうため受験生にとっては対策が必須である。
本書は「多義語の章」を丸々一つ設け、受験に頻出する多義語を一気に学習できるようになっている。
実はこうした多義語だけを勉強できる単語集は少ない。ほぼどんな単語にも(辞書的には)複数の意味があるため、大抵の参考書は「多義語をわざわざ特別扱いにする必要がない」と思っているのだ。
そこに着目し、ひとつの章を丸ごと「多義語専用」にしたのは『システム英単語』の大きな功績である。
読者は、特に気をつけるべき多義語が明確に区別された状態で復習できる。
全ての受験生にとってかなり有益な構成であることは間違いない。
勉強法
ページ数は多いが、重要なところは太字化・色分けされているので、まずは1周して最低限の知識をざっと入れてしまおう。
単語集の勉強は、反復が何よりも大事である。
何度も何度も繰り返そう。
CD(システム英単語CD)は別売りだが、絶対に入手して活用したい。
音声は「単語 → ミニマルフレーズ → 日本語訳 → ミニマルフレーズ(2回目) → ミニマルフレーズ(3回目)」という構成になっており、聞き落としが少ないため電車の中や徒歩中といった通学時間を活用した学習が可能。
スキマ時間を利用して、とにかく聞き込もう。リスニング対策にもなる。