英語勉強における発音は、日本では最も軽視されている分野です。
授業中に英文を読み上げる際、流暢な発音で読むと「何頑張っちゃってんの?」とクスクス笑われ、教師も特に発音には力を入れないので、”I don’t feel like it.”(ちょっとその気になれない)を「アイ・ドント・フィール・ライク・イット」と発音する、日本特有の「カタカナ発音」がまかり通ることになってしまいます。
別に発音なんて大した問題ではないのではないか?
いいえ、違います。
いい加減な発音こそが日本人が英語を話せない最大の理由なのです。
目次
発音こそが英語勉強で一番重要だった!
・知られざる発音のチカラ
・発音はそんなに重要なのか?
・実際の発音とどのくらいズレがあるのか
・日本人が英語を話せない本当の理由
・発音を鍛えるとどんなメリットがあるか
・1日15分でカンペキにする!発音の勉強法
知られざる発音のチカラ
学生時代に英語の読みはある程度できるようになった。
さぁ後はスピーキングだ!
とばかりに威勢よく英語教室に乗り込んでみたはいいものの、自分の話す英語が全く相手に伝わらず、次第にどんどん恥ずかしくなり声が小さくなり何も話せなくなる……。
こんな経験はありませんか?
一般に、日本人が学生時代に習う「英文法」「英単語」「読解(リーディング)」のレベルの高さは非常に高いものとして知られています。
ではなぜ、高度な英文が読めるのにカンタンな英語が話せないのでしょうか。
答えはたった一つ、「正しい発音ができていないから」です。
発音はそんなに重要なのか?
例えば、ここにある外国人の方がいると仮定しましょう。
彼は、「書籍」を「シュセキ」、「取り寄せて」を「オリヨセテ」と発音するものだと勘違いしています。
「この書籍取り寄せて」と言いたいとき、彼は「コノ シュセキ オリヨセテ」と発音しますが、これで正しい日本語を理解するのは聞き手としては非常に困難です。
彼はその発音が正しいと思っているのです。
間違った発音知識しか無い以上、彼の話すチカラ(スピーキング)や聴くチカラ(リスニング)は、ある程度以上は絶対に上達していきません。
その言語の「発音」は、話したり聴いたりするときの核です。
文字という間違いようの無い証拠がある読み書きと違い、スピーキングとリスニングは音しか存在しない世界なのです。
正しい音を使えていなければ、話すチカラも聴くチカラも向上しないのは当然です。
実際の発音とどのくらいズレがあるのか
ちょっと以下の例文を声に出して読んでみてください。()内は今まで学校で教わってきた読み方、[]内は和訳です。
① I don’t feel like it.(アイ・ドント・フィール・ライク・イット)[ちょっとその気になれない]
② Good afternoon.(グッド・アフタヌーン)[こんにちは]
③ Don’t worry about it.(ドント・ウォーリー・アバウト・イット)[気にしないで]
正しいアメリカ式の発音は以下のようになります。
① アイドンフィラィキッ
② グラフトヌーン
③ ドンウオリアバウレッ
従来の日本式カタカナ発音と実際の発音とは、だいぶ違っていることがお分かりいただけましたでしょうか。
日本式のカタカナ発音と比べると、正しい発音はかなり短くなっているのが特徴です。
正しい発音では音のつながり・省略が頻繁に起きるので、結果として一文の読み上げ速度が(我々からすると)早く感じてしまうのです。
「リスニングの英語が早くて聞き取れない」という方は、そもそも正しい発音を身につけていない可能性が大です。
「マクドナルドはどこですか?」と尋ねたい時、「マクドナルド」と発音していたら絶対に通じません。
メッダーノウズあるいはマクダーナァと発音しないとネイティブはMcDonald’sだと認識できません。
我々が習ってきた日本式カタカナ発音と、実際の発音の間には、それほどの隔たりがあるのです。
日本人が英語を話せない本当の理由
以上見ていただいた通り、「英語の発音」というものは、本来スピーキングやリスニングの授業で真っ先に取り上げられるべき超重要項目です。
発音がダメだと、どんなに多く単語を覚えていても、どんなにこなれた言い回しを覚えていても、会話の際には全てムダになってしまいます。
以前から日本の英語教育は読解至上主義です。
長文を、いかに正しく素早く訳せるか……そのために文法や単語をカンペキにする、それが日本の英語教育でした。
現在でも英語の学習は「読み」に偏重しており、「話す、聴く」にそれほどの比重がおかれていません。センター英語でもリスニングの配点はたったの20%程度です。
時間対効果を求めるなら、授業でリスニングやスピーキングに時間を割くことは非効率です。
ゆえに教師の方もやむなく「話す」「聞く」を重視しません。
当然、極めて重要な発音に触れることも無くなります。
「とりあえず急場をしのげればいいや」ということで、英語をそのままローマ字読みする「カタカナ読み」が蔓延してしまうのです。
そうして日本式カタカナ読みが間違った発音だと知らないため、「なぜかスピーキング力・リスニング力がアップしない」と嘆く方が出てきてしまう……というわけです。
「英語を聴いて話すために、一番重要な発音」を教えない日本型の英語教育こそが、日本人が英語を話せない最大の理由となっているのです。
発音を鍛えるとどんなメリットがあるか
発音を鍛えた際のメリットは2つあります。
まず、英語が相手に正しく伝わる(話すチカラ(スピーキング)の向上)。
そして、相手の英語を正しく聴き取れる(聴くチカラ(リスニング)の向上)。
スピーキングを鍛えようとするなら、まず第一にやるべきです。
英語の「読み書き」と「話す聞く」は完全に異なるスキルが必要となります。
かたや文字の解読、かたや音の解読なわけですから、考えてみれば当然です。
英語が読めたらリスニングもスピーキングもできる、なんてことは絶対にありえないのです。
「話す聞く」チカラをつけようとした時、必要になるのが発音です。
発音は、読み書き時の文字にあたります。
読み書き時に正しい文字(スペル)の知識がなければいけないように、話す聞く時には正しい発音の知識がなければそもそも何もできません。
発音をカンペキにすることによって、ようやくスピーキングのスタート地点に立てます。
多くの日本人の方は英文法をかなり高い水準で身に付けているので、発音さえマスターしてしまえば、あとは表現集を暗記してしまえばスピーキングに関しては問題ないレベルになるでしょう。
ほぼ同じ理由で、リスニングを鍛えようとするなら、やはりまず発音から勉強すべきです。
知らない音は聞こえません。
でも、知ってる音なら聞き取れます。
リスニングが苦手な方は、ただ単に正しい発音を知らなかったから聞き取れなかったに過ぎないのです。
発音をしっかり勉強することによって、それまで覚えてきた単語や表現が、一気に聴き取れるようになります。
ぜひ、今日すぐにでも発音の勉強を始めましょう。
1日15分でカンペキにする!発音の勉強法
さて、それでは実際どのように勉強すればいいのでしょうか。
なるべくお金も時間もかけたくない方は、以下の2冊を買ってカンペキにマスターしましょう。
『超低速メソッド英語発音トレーニング』
英語発音勉強の金字塔。
「これ1冊あれば発音はカンペキ」と言えるほどの完成度。
何よりもまず内容が非常に易しいことが嬉しいところ。
通常、発音本というのは、英語の発音を網羅しようとするあまり、内容が煩雑かつ膨大になりがちです。
しかしこの本は難しい理屈などを一切排除し、少ない説明で分かりやすく発音を解説しています。
また、タイトル通り発音がものすごくゆっくりなのが特徴です。
これにより、何気なく一瞬で聞き逃して「分かったフリ」をしていた発音が、実際はどのように発音されていたのかかが分かるつくりになっています。
「今まで同じ音だと思っていたが、全く違う発音だった」「LとRは明確な違いがあった」など、発音の知識を確実に身につけられることを保証します。
付属のCDは合計80分なので、1日15分勉強すると6日で一周できてしまうのも利点です。
毎日15分ずつ本書で勉強すれば、2週間目を終える頃には飛躍的に発音力がアップしていることでしょう。
発音を勉強したことがない全ての人にオススメする、発音勉強の決定本です。
続編として『超低速メソッド英語発音トレーニング Advanced (CDブック)』も出版されていますが、どうしても買いたいという方以外は、1冊目だけで十分でしょう。
『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』
『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則―ネイティブも驚いた画期的発音術 (ブルーバックス)』
英語発音の超良書。
「英語の発音はカタカナ発音では不可能」ですが、「ネイティブの発音に限りなく近いカタカナ発音をやってみよう」というのが狙いの書です。
「”What do you think about it?”(どう思う?)を「ホワット ドゥー ユー シンク アバウト イット?」ではなく「ワルユーテンカバウレッ?」と発音すると良い」など、従来のカタカナ発音に革命をもたらした一冊です。(実際、後者の発音はかなりネイティブの発音に近いですし、普通に通じます)
書かれていることの難易度がかなり低いので、英語初心者の方でもラクに読めるでしょう。
また、その最大の特徴として、「消える音」「つながってヒトツになる音」のパターンを多く網羅しているという点が挙げられます。
ムズカしい発音記号やリクツを抜きにして解説してくれるので、ただ読んだだけで英語の発音のコツが分かったという声が多く上がっています。
いきなり英語本来の発音をガツガツやるのは、かなりの負担を伴うものです。
なので、従来のカタカナ発音に慣れてしまっている方は、この1冊でまず「ちゃんと通じるカタカナ発音」というものを学びましょう。
これ1冊を終えると、カタカナ英語と侮るなかれ、日本語と英語の発音の違いというものがかなりのレベルで理解できているハズです。
そうして発音の違いに慣れた頃に、上の『超低速メソッド』に移れば、効率的な学習効果を得られることは間違いありません。
また、「通じるカタカナ発音」というのは習得が容易でいくらでも応用が利くので、
「明日からアメリカ出張だ! 発音なんて一からやってるヒマはない!」
という急を要する方でも、最悪、行きの飛行機内でこれを読破するだけでスピーキングスキルの大幅な向上が見込めます。
発音入門書であり、即効性もある本書。
発音勉強1冊目にオススメです。
発音練習は、短期間でスピーキング力・リスニング力を向上させ、また英語力全体の底上げを図れる、まさに基礎にして即効性バツグンの分野です。
・英語を基礎から勉強したい方
・英語をコミュニケーションツールとして使いたい方
・英語のドラマや英語を字幕なしで見たい方
・受験生・ビジネスマンの方
など、全ての方がまずやるべき勉強です。
慣れてしまえば後はカンタンです。
ぜひ頑張ってこの機会にマスターしてしまいましょう。