英語を聴くチカラ(リスニング)は、日本人にとっての最難関です。
多くの方がリスニングだけがどうしてもできないという悔しい思いをしてきたのではないでしょうか。
「やっぱり幼少期に英語に触れていなかったから、”英語の耳”が自分にはないんだ……」
「どんなにCDを聴いてもリスニングできない。もうあきらめよう……」
いいえ、大丈夫です。
ある勉強をするだけで、リスニング力は飛躍的に伸びるのです。
目次
聴くチカラ(リスニング)を鍛えよう
・リスニングができない原因は日本の英語教育にあった!
・間違っていた発音
・なぜ間違った発音を教えられてきたのか
・まずは発音だ!
・言える音なら聞きとれる
・発音できたら聞き込もう
・オススメの参考書
リスニングができない原因は日本の英語教育にあった!
間違っていた発音
英語を聴き取るには、当然ですが英語の発音を聴き取らなければいけません。
ですが、「リスニングの勉強をしたいのに、発音の勉強なんていちいちやる必要があるの?」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで突然ですが、以下の英語を口に出して読んでみてください。
① appointment(アポイントメント)
② getting(ゲッティング)
③ a little bit(ア・リトル・ビット)
④ What’s up?(ホワッツ・アップ?)
⑤ turn it on(ターン・イット・オン)
いかがでしょうか。
実は、()内のカタカナは間違った発音です。
アメリカ式の発音に近い読み方をすると、以下のようになります。(△は一瞬の空白を意味します)
① appointment(アポイン△メン)
② getting(ゲリン)
③ a little bit(アリルゥビッ)
④ What’s up?(ワッツァッ?)
⑤ turn it on(ターニロン)
最初のカタカナ発音とはかなり異なっているのがお分かりいただけたでしょうか。
しかし、我々は英語の発音はこういうものだと教わってきました。
だから正しい発音を知らないのは当然なのです。
なぜ間違った発音を教えられてきたのか
なぜ我々は間違った発音を教えられてきたのでしょうか。
長い間、日本での英語教育は長文読解に重点が置かれていました。
単語と文法さえ覚えれば良かったので、発音は二の次になっていたのです。
センター試験にリスニングが必須となった今でも、単語と文法を重視する読解至上主義は崩れておらず、また発音の教育・矯正には時間がかかるため、発音はスルーされてしまいがちになってしまいます。
結果、英語をカタカナ読みするという日本式発音がはびこり、正確なものには程遠い発音しか知らない人が増えてしまったわけです。
学校の授業中に「読んでみなさい」と言われ、流暢な発音で読む人がいたらクスクス笑われるというシーンを見た方も多いのではないでしょうか。
よく考えてみると流暢な発音をしていない人が笑われるはずなのですが、間違った発音の方を「みんなそう発音してるからおかしくない」と思っている生徒が多い以上、多数派主義の日本の土壌では起きてしまうできごとなのです。
英語教師の中には「日本式のカタカナ読みの方が正しい」とする人もいるくらいです。(もちろんそうでない方もいらっしゃいますが)
発音を軽んじる英語教育には「長文偏重の大学入試のため仕方なく」「限られた時間の中では文法や単語を教えたほうが得点効果が高い」といった、やむをえない事情もあります。
この辺りは日本の英語教育改革が待たれるところです。
まずは発音だ!
さて、とにかく重要なのは正しい発音を知らなければリスニングの英語は聴き取れないということです。
「ワルユーテンカバウレッ?」と聴いて”What do you think about it?“(どう思う?)が思い浮かぶ方、
「ケナイヘヴ スムウワラ?」と聴いて”Can I have some water?“(水をください)だと分かる方、
「ジュマインデファイ オウペナドア?」と聴いて”Do you mind if I open the door?“(ドアを開けていいですか?)と聴き取れる方、
は、既にリスニングはカンペキです。
ですが、上のカタカナを見てどういう英語なのか想像もできなかった方は要注意です。
日本式のカタカナ読みから脱却できていない可能性があります。
すぐに発音の勉強にとりかかりましょう。
日本人がリスニングを苦手としているのは、学校で教わった間違った発音知識でいきなりリスニングに挑戦していたからです。
ある外国人が、「私」の発音を「メテシ」、「思う」の発音を「ロモウ」だと間違って理解していたら、我々が言う「私はそう思う」を絶対に聞き取れません。
彼らにとっては「メテシ ハ ソウ ロモウ」こそが「私はそう思う」の発音なのですから。
これは極端な例ではありません。
日本式のカタカナ発音と、実際のネイティブの発音には、それほどの差異があります。
正しい発音が分かれば、リスニングは絶対にできます。
100%です。間違いありません。
まず発音から勉強しましょう。
言える音なら聞きとれる
では具体的にどのように発音の勉強をしていけばいいのでしょうか。
実際に自分が正しい発音をできるようにするのが一番効果的です。
自分が発音できるようになった音なら確実に聞き取れます。
また、発音できるようになった音は話すチカラ(スピーキング)の向上に大幅に貢献してくれます。
自らの口と舌を使って覚えた正しい発音は実践経験なので、強烈に記憶に残ります。発音の記憶力アップの効果もあるのです。
詳しい勉強法・参考書などは「発音こそが英語勉強で一番重要だった!」のページで解説しておりますので、そちらをご参照ください。
発音できたら聞き込もう
発音をマスターをしたら、今度は実践です。
CD付きの参考書・ニュース・洋画・オーディオドラマ、何でもいいのでとにかく英語を聞き込みましょう。
正しい発音さえ理解してしまえば、あとはひたすら実践経験あるのみです。
発音をマスターしてすぐにリスニングがカンペキになるわけではありません。
「知識としての音」と「実際の音」のズレの矯正、アメリカ英語・イギリス英語・オーストラリア英語の訛りの違い、スラングやくだけた表現の理解、会話特有のリズムや間、頻出する「音の繋がり方」、などたくさん聞き込まないと分からないリスニング特有の知識は膨大にあります。
とにかく聞きまくって、リスニング力を上げていきましょう。
オススメの参考書
発音の参考書
怖いくらい通じるカタカナ英語の法則―ネイティブも驚いた画期的発音術 (ブルーバックス)
どちらも発音の参考書です。
正直、発音に関してはこの2冊をカンペキにするだけでOKです。
詳細は「発音こそが英語勉強で一番重要だった!」のページへどうぞ。
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リスニング本を買ったはいいけれど、買っただけで満足しあまりやっていないという方は多いでしょう。
英文が難しい、そもそも何を言っているか聞き取れないなど、原因は多くあります。
しかし、発音をマスターした方ならもう大丈夫です。理論上、聞き分けられない音などないのですから、あとは英語の音に触れ続けていれば必ずリスニング力は上がっていきます。
本書『究極の英語リスニング Vol.1』は入門レベルの英単語1000しか出てこないので、難易度は低いものになっています。
また、Unitも50あるので分量も申し分ないものになっています。
発音マスター後のリスニング勉強にはもってこいの1冊です。
これを聞き込み、「何を言っているかカンペキに分かる」という状態になったら、中級編・上級編の『究極の英語リスニング Vol.2―SVL(Standard Vocabulary List) (2)』『CD付 究極の英語リスニング Vol.3―SVL 3000語レベルで1万語[深まる3000語] (究極シリーズ)』などに進むとよいでしょう。
みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング
みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング(CD BOOK)
リスニング勉強における手法の1つ「シャドーイング」を重視した参考書。
シャドーイングとは「聞こえてくる音をそのまま自分で音読していく」というもので、正しい発音の聞き分け力、正しい発音の実践力など、リスニング力のみならずスピーキング力も上がるトレーニング法です。
有名なのでご存知の方も多いかもしれません。
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