受験生の英語対策:読解③速読

「どんな難しい英文も読めるようになった!」と安心して読解の勉強をストップしてはいませんか?
現代の受験英語では、英文を「正確に読む」のはもちろんですが、それ以上に「速く読む」ということが非常に重要視されています。

速読の訓練をしなければ、英語で高得点を狙うことはかなり難しいのです。

受験生の英語対策:読解③速読

なぜ速読が必要なのか
速読には訓練が必須!
速読のコツ
オススメの参考書

なぜ速読が必要なのか

ややこしい構文・ミスしやすい文法・意味を取り違えやすい単語、それらを見抜き、正確な英文の意味をつかみ和訳できる――。
英文解釈力が十分に備わった人にとって、読解問題で恐れるものはほぼありません。
だって読めば分かるのですから。

ではなぜ「速く読む」というスキルが必要になるのでしょうか。
それは、受験には制限時間があるという受験生が最後まで見落としやすい罠があるからです。
いかに英文を正確に読める能力があっても、時間内に問題を解き終わらなければ努力が水の泡と消えます。

特に現代受験英語では、制限時間に対し、読むべき英文の量がかなり多いことが特色です。
2度も3度も英文を読んで、問題文と英文を行き来していたら確実に時間切れです。
問題を読むのはそんなに時間がかかりません。解答にしても、問題部分を先読みして該当箇所を頭の中に入れておけば時間をとりません。
つまり、時間を削れるのは英文を読む部分だけなのです。

英文を速く読まなければ高得点を狙えないから。
それこそが、受験生にとって速読が必要な理由なのです。

速読には訓練が必須!

速読には、独自の訓練がゼッタイに必要です。
ただ問題を解いていけばいずれ速く読めるようになる……というコトはほぼあり得ません

「とにかく丁寧に正確に英文を読む」という英文解釈の勉強しかしてこなかった人にとって、「正確に速く英文を読む」という速読はかなり方向性の異なるスキルです。
一朝一夕で身につくものではありません。

自分の速読力がどれほど足りないのかを知るためには、過去問を解くのが一番です。
しかし、きちんと時間を計って採点・復習までする過去問活用は、受験の直前期になるまでしなかったという人が多いのが実状です。
このため、本来なら長い時間を当てねばならない速読のトレーニング不足を受験直前になって気づくという事態に陥りがちです。

長文読解の分量が非常に多いセンター試験においても速読スキルはゼッタイに必須です。
早め早めに速読の訓練に取り掛かっておきましょう。

速読のコツ

英文を速読するためのコツについて、確実に抑えておきたいポイントを紹介します。
具体的な速読のトレーニングについてはページ下部「オススメの参考書」をご参照ください。

和訳しない

英文を、英語のまま理解しましょう。
「英文を読む → 日本語に和訳 → 日本語として記憶」というプロセスでは、和訳時に非常に多くの時間のムダが発生してしまいます。
英文の内容を、英語のまま理解し、その内容を記憶しましょう。

「そんなのムリに決まってる!」と思ってしまいますが、慣れればできます

“I like the cat. He’s so cute.”
という英文を読んで、「日本語に和訳して記憶しておこう」という手間のかかるコトは考えませんよね?

きちんとトレーニングを積めば、英文を英語のまま理解するという非常に強力なアドバンテージを得ることができ、読解スピードは飛躍的に向上するのです。

後ろから読まない

英語は主語・動詞がまず最初に来て、装飾要素は後ろに置かれます。
日本語とは逆の構造です。

そのため、和訳する際に「英文を後ろから訳していく」というスタイルを取る方も多いでしょう。
これは和訳問題の時は問題ないのですが、速読の時までそのクセから抜け出せないでいると、大幅な時間のロスとなってしまいます。

基本的に、英語は前から読んでいけば意味が分かる言語です。
左から右へ、視線の流れと一緒に英文の内容を理解して行きましょう。
トレーニングを積めば、むしろ「なぜ今まで英文を後ろから読んでいたんだろう」と疑問に思えてしまうレベルにまで到達します。

速読が必要とされる「分量の多い英文」には難解な構文はほとんど登場しません。
前から自然に読んでいくスタイルで英文を理解するのは、実はそれほど難しいことではないのです。

速読中は、なるべく流れの通りに前から読んでいき内容を理解する、というコトを心がけましょう。

読むのは1度だけ

これが速読のコツの中において最も重要なことです。
英文を読むのは1度だけ。2回も3回も同じ文を読まないようにしましょう。

「正しく正確に読む」という読解法に慣れた方にとっては、同じ文を複数回も読むのは当然のことのように思えます。
しかし、速度が重視される速読中において、「同じ文を繰り返し読まねば内容把握ができない」というのは最大級の時間のロスと言えます。
事実、「英文を速く読めなくて時間が足りなくなった」という受験生の方は、ほぼこの点でつまずいています。

「読解①知っておくべきこと」内で述べた「問題文を先に読もう」を実践すれば、読みながら解くということが可能になります。
それに「英文を1度読めば意味を把握できる」という速読スキルが重なれば、本番で時間に追われる心配はなくなります。
それほど重要な要素なのです。

最初のうちは、「同じ文を2度3度読む → 意味を理解する → 次の文へ」という流れになってしまいがちです。
しかしトレーニングを積めば必ず「1度読んで意味を理解する」ということが可能になります。
相応に難易度が高いスキルですが、訓練すれば確実に誰でもできるようになります。
速読で大きなアドバンテージを得て他の受験生との差を広げるため、ゼッタイに習得しておきましょう。

オススメの参考書

大学入試英語長文ハイパートレーニング


大学入試英語長文ハイパートレーニング (レベル3)

速読トレーニングは、とにかく良問を多く解くことが最も効果的です。
本書『大学入試英語長文ハイパートレーニング』は非常に詳しい解説とバツグンの可視性がポイントの、英文解釈・速読いずれのトレーニングにも使える良書です。

入門レベルの『大学入試英語長文ハイパートレーニングレベル1 超基礎編』、センターレベルの『大学入試英語長文ハイパートレーニング (レベル2)』と難易度ごとに分けられており、いずれも良問揃いです。
最終的には『レベル3(やや難関大レベル)』を目指しましょう。

センター試験過去問


センター試験過去問研究 英語 (2015年版 センター赤本シリーズ)

センター・二次問わず、速読が必要になる方は必ず過去問で勉強しておきましょう。

特にセンター英語では速読が必須になりますし、センターは過去問で出題された語句・問題が頻出することでも有名です。
加えて全国の大学受験生が必ず受ける試験だけあって、センター試験は悪問奇問なしの良問の宝庫です。
速読力を鍛えるにはもってこいの教材と言えるでしょう。
時間を計って解き、きちんと復習していきましょう。