「規則の丸暗記ばかりでとにかく面倒くさい」と嫌われがちなのが文法です。
「複雑な文法を、とにかく大量に丸暗記する」というのが従来の文法対策だったため、覚えたはいいが実践でド忘れしてしまうという事態に陥った方も多いのではないでしょうか。
しかし最近になって、「丸暗記しなくてもいい文法対策」というものが登場し始めました。
より少ない労力で、より効果的な結果に結びつける勉強法――。その鍵は「イメージ」にありました。
目次
受験生の英語対策:文法
・そもそも文法はどのくらい重要なの?
・丸暗記の文法対策をやめよう
・文法問題は、文法だけじゃない
・オススメの参考書
そもそも文法はどのくらい重要なの?
大学受験における文法の重要度を10段階で表すと、間違いなく10です。単語と並んで最重要項目です。
文法の知識が無ければ、何よりも配点の高い読解で得点を稼ぐことが非常に困難になります。
また、和文英訳・英作文の際にも文法の知識は必要になってきます。
そしてセンター・二次問わず、文法知識自体を問われる問題が多いのも事実です。
重要なのは、文法はやれば必ず伸びる分野だということ。
大学受験における文法は、難解なものではありません。
きちんと対策すれば確実に9割を超えます。
文法は、英語の基礎にして得点源なのです。
丸暗記の文法対策をやめよう
丸暗記とは、「全く異なる事柄AとBを、A=Bであると記憶する」ことです。
その場合、記憶することは「Aという事柄」「Bという事柄」「A=Bであること」の3つになります。
これが多くの記憶物の中で、よく似ている「A’」という事柄が出てきたり、「B=C」に結びついてしまったりと、記憶の混乱がしばしば発生します。
丸暗記では、記憶の定着に時間がかかり、またその定着度も薄いものになってしまいます。
なるべく丸暗記を避けた勉強をしていきましょう。
では丸暗記を避けた文法勉強とはどのようなものでしょうか。
それは、文法のイメージを覚えるというものです。
文法には、固有のイメージが存在します。
我々が「私は月へ行った」「月へ行ったのは私だ」という文に明確なイメージの違いを感じるように、ネイティブもそれぞれの英文法に全く異なるイメージを抱いています。
我々が教わる文法というのは、その一番大切なイメージの説明を省き、結果だけを述べたものなのです。
これでは丸暗記に走るしかありません。
なので、まずそれぞれの文法のイメージを知りましょう。
イメージを知ることで、「willとbe going toは全く違う意味だった」「現在完了の使い方がやっと分かった」「前置詞の違いが驚くほど理解できた」「文法の参考書でモヤモヤしていたことが解決した」とより深く文法を知ることができます。
恐らく大勢の方は「文法ってこんなに面白いものだったんだ」と思うことでしょう。
同時に、イメージを覚えるということは(先の例でいうと)「Aという事柄」「Bという事柄」のいずれかに「A=Bであること」を内包してしまうコトを意味します。
「A」と聞けば「AのイメージはA=Bだから、関連性があるのはBだな」と即座に思い出せるわけです。
楽しみながら理解力を深められて、記憶にも定着しやすくなる。
イメージで学べば、文法なんて実にカンタンな分野になってしまうのです。
文法問題は、文法だけじゃない
多くの方にとってセンター試験の文法問題が文法勉強の一つの目標であるかと思われます。
事実、センター英語の第2問に文法問題が出題され、その詳細は「文法・語法・語句・会話文・語句整序」となっています。
ところで、実際に問題を解いてみるとわかるのですが、純粋な文法知識が問われる問題数というのは意外と少ないのです。
それよりも、「動詞helpの直後に来るのは動詞の形はto不定詞? 原形?」「Be () to doに当てはまるのはsureか?」といった語法・熟語問題の方が印象に残るでしょう。
語法や熟語などに関しては、ある程度文法の参考書でカバーできますが、それ以上は「語法や熟語が載っている単語集」で単語を覚える際に一緒に覚える方が効果的です。
『Duo3.0』『システム英単語』などがそれに適う単語集です。
単語を覚えつつ、語法や熟語も覚えていきましょう。
オススメの参考書・勉強法
ハートで感じる英文法
ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (語学シリーズ)
ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (会話編) (語学シリーズ―NHK3か月トピック英会話)
「イメージ」を軸にした英文法の参考書。
イラストが豊富に用いられており、文体も柔らかかく読みやすいのが特徴です。
特に大学受験用というワケではありませんが、バリバリ受験でも使える知識が満載です。
内容自体が非常に面白いので、文字ばかりの文法勉強に嫌気がさした受験生の方は必読です。
一億人の英文法
一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)
『ハートで感じる英文法』シリーズの著者陣が送る、「イメージで学ぶ英文法」の集大成。
立ち位置的には、イメージ版『Forest』といったところ。
主要な文法はほぼ全て網羅されており、イラストや親しみやすい口調で語られるその構成は、文法参考書とは思えないほど読みやすいものになっています。
内容の面白さから、読み物としても活用できます。
受験の文法はこれ1冊でもいいくらいですが、一覧性・索引性といった辞書的用法はやや苦手なので、やはり『Forest』は持っておきましょう。
英文法レベル別問題集
「イメージで学んでいる時間がない!」
「インプットは終わったから、実践形式でどんどんアウトプット訓練をしていきたい!」
という方は、いきなり問題集に入ってしまいましょう。
『英文法レベル別問題集』は、レベル1~6(中学基礎~超難関大)に段階分けされており、解説もコンパクトで、実際に試験に出る文法しか扱っていません。
そのため、とにかく短期間で文法を仕上げたい方は、この問題集を何周かするだけでも高得点を狙えるようになるでしょう。
1冊1冊が薄く、問題量もそれほど多く感じないのに必要な知識・問題形式を網羅している所が嬉しいシリーズです。
レベル1.国立高校受験レベル『英文法レベル別問題集 1(超基礎編) (東進ブックス)』
レベル2.難関私立高校受験レベル『英文法レベル別問題集 2(基礎編) (東進ブックス)』
レベル3.センター試験(基礎)レベル『英文法レベル別問題集 3(標準編) (東進ブックス)』
レベル4.センター試験・中堅私大レベル『英文法レベル別問題集 4(中級編) (東進ブックス)』
レベル5.有名私大・国公立大レベル『英文法レベル別問題集 5(上級編) (東進ブックス)』
レベル6.難関私大・難関国公立大レベル『英文法レベル別問題集 (6) (東進ブックス―レベル別問題集シリーズ)』
Forest
やはり受験生なら一冊は持っておきましょう。
どちらかというと読解の時に出てくるややこしい文法を調べる辞書としての使い方が主になってくると思いますが、最初から最後まで頼れる文法辞書であることは間違いありません。