従来の日本型英語教育により、我々は「つらく苦しい勉強法こそが英語上達の道」と教え込まれてきました。
それは正しいのでしょうか。
いいえ、真の英語勉強法は、もっと楽しく効率的で実践的なものなのです。
目次
幼児のように覚えよ
突然ですが、日本語を覚えたときのことを覚えていますか?
「日本語が難しすぎて覚えられない!」と感じた人はほとんどいないはずです。
幼児は一日数時間に及ぶ言葉の洪水を浴び続け、脳の成熟とともに試行錯誤を経て言語を獲得していきます。
幼児期の驚異的な言語獲得能力は、おおよそ6~7歳以降で徐々に低下傾向を見せ始め、9歳前後になるとその能力のほとんどを喪失します。
俗に言う9歳の壁です。
9歳を過ぎてしまった人間は、言語を学習するのが非常に大変になってしまうのです。
つまり我々が幼児のように言語を習得することは不可能です。
一日数時間も英語に触れて生活することは難しいですし、そもそも脳がピーク時よりかなり衰えているため、言語獲得能力が著しく低い状態なのです。
しかし、幼児期に行っていた言語獲得方法をマネすれば、今より遥かに英語習得は効果的になります。
あなたがかつて複雑な日本語を覚えたように、今度はその方法で英語を学びましょう。
幼児のように覚えよ。
英語学習で一番大事なことです。何度も思い返してください。
イメージで学ぼう
ではその具体的な方法です。
まず、英語はイメージで学んでください。
いきなり言われてもピンと来ないかもしれません。ちょっと例を挙げてみましょう。
何となく英語って、「冷たく」「硬質で」「無機質な」言語だと感じたことはありませんか?
lookとかseeとかwatchとか仮定法過去とか未来形の使い分けとか、単語も文法も、血の通わないアルファベットの羅列に過ぎないじゃないか。
そこへくると日本語は違う。漢字にはそれぞれ成り立ちがあって、ひとつひとつ異なったイメージがある。
「花火」なんて良い例だ。花のような火。「花」も「火」もどちらの漢字も実体をうまく表すような文字だ。
言葉一つ一つにイメージがある。だから日本語は覚えやすい。
英語にもイメージの概念があったらなー。
と、思った方は少なくないと思います。
実は、英語にもイメージはあります。
ネイティブは単語一つ一つ、文法それぞれに違うイメージを抱いています。
我々が「走る」「駆ける」「疾走する」に全て違うイメージを抱いているように、ネイティブも”look” “see” “watch”に全て違うイメージを持っています。
lookは動作です。「ん?」と目を向ける動作。
watchは「じっと注視する」イメージです。
seeは「向こうからやってくるものが”見える”」といった感じで、見るという動作とは少し違います。
さて、たったこれだけの説明で、今まで積もっていた疑問が氷解したのではないでしょうか。
なぜテレビはwatchするものなのか。テレビに移されている番組を注視するからですね。
lookだと、テレビという機械そのものを見るという意味になってしまいます。
こういう次第で「テレビを見る」が”watch TV”になるというワケです。
“I see.”がなぜ「わかった」という意味になるのか。
大雑把に「向こうからやってくるものが見える」という意味なので、seeという単語は心の動きを表す言葉と繋がりやすいのです。
日本語でも「わからないよ」という意味で「話が見えてこないわー」とか言ったりしますよね。
単語はもちろん文法だってイメージで成り立っています。
未来形としてよく知られているwillとbe goint to~ですが、これらは全く違う意味です。それを理解できれば使い分けなんて簡単です。
仮定法過去だってそうです。現実に起こりえないことを仮定する時、わざわざ過去形を持ち出すのは、ネイティブが過去形にあるイメージを持っているからです。
さらにさらに、単語の成り立ちだってイメージです。
「顕微鏡」を意味する”microscope”(マイクロスコープ)という単語は、「微小な」という意味を持つ”micro”、「範囲」という意味を持つ”scope”の2つから成り立っています。
まるで漢字の偏とつくりですね。
そうです、英語だって言語なのです。
全ての要素には必ずイメージが伴っています。
本に書かれている英語を、日本語の解説付きでただ丸暗記しているだけでは、その奥にある英語のコアは見えてきません。
一度英語のイメージを洗い直してしまえば、単語も文法もフレーズも簡単に身につきます。
「儚い」という漢字の意味を丸暗記して書けるようになるのは、何も知らない人では難しいでしょうが、人偏、そして「夢」という漢字を知れば「人の夢と書いて儚(はかな)い、ああ、なるほど」とたちどころに覚えられ二度と忘れないでしょう。
英語の勉強とは、ただアルファベットの羅列を暗記していくことではありません。
イメージを掴むことを常に意識しながら学習すれば、丸暗記という苦痛を伴う負担は確実に減らせるのです。
オススメの参考書・教材
ハートで感じる英文法
ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (語学シリーズ)
現在出ている英語参考書の中でも間違いなくトップ3に入る超良書。
前置詞・助動詞・SVOに仮定法・現在完了など、今まで「そういうものだから丸暗記しろ」とされてきた事柄は実は全てイメージで解決できるのだと分かる本。
文法なんて大嫌い!という方に是非読んでいただきたい一冊です。
一通り文法をやった方にももちろん一読の価値があります。
書いてある事全てが目からウロコもの。これだけで英語への苦手意識が払拭されます。
英単語イメージハンドブック
『ハートで感じる英文法』の著者による英単語イメージ参考書です。
こちらは単語全般に主眼が置かれており、名詞・動詞・助動詞・前置詞・接続詞・副詞などが網羅されています。
読破すると単語・文法の本質理解がかなり捗ります。
初心者の方から大学受験生・社会人・TOEIC対策をしたい方まで、是非とも手元に置いておきたい一冊です。
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