解説:ハートで感じる英文法

ハートで感じる英文法

概要

発売日  :2005年12月
著者   :大西 泰斗, ポール・マクベイ
ページ数 :223ページ
ジャンル :英文法
対象レベル:☆☆(初中級者以上)~

構成

Lesson1  「イメージでつかむ」前置詞の世界
Lesson2  theは「1つに決まる」
Lesson3  「導く」thatのキモチ
Lesson4  「迫ってくる」現在完了
Lesson5  「躍動する」進行形
Lesson6  すべての-ingは躍動する
Lesson7  未来形なんてない
Lesson8  助動詞のDNA
Lesson9  過去形が「過去じゃない」とき
Lesson10 仮定法を乗り越えろ
Lesson11 英単語もイメージだ
Lesson12 「文の形」にも感覚がある
おまけ+α 重要基本イメージ集

特徴

日本の英文法学習に革命をもたらした名著

従来の英文法学習は「先行詞」「分詞構文」「仮定法過去完了」「擬似関係代名詞」といった言語学研究レベルの難解な文法用語が跳梁跋扈していた。
個々の説明も、数十年前から対して変わることない機械的でイメージの沸きにくい説明文が並ぶだけで、学習者は血肉の通わない英文法の丸暗記を強いられてきた。
そのくせ「未来形のwillとbe going toはほぼ同じ意味である」等、かなり重要なところを間違って教えてきたものだから始末が悪い。
英文法は複雑でムズカしい、そう感じてきた人が多いのも当然だ。

本書は、そうした機械的な文法規則・文法用語とキョリをとり、文法学習がもっと楽になるように、コアのイメージをつかむということに特化した1冊である。
文法のコアのイメージをつかむというのはすなわちネイティブの呼吸をつかむということであり、これにより文法の理解力・応用力・記憶力が遥かに向上する
何より、文法が楽しくなる
本書を読んで「英文法ってこんなにカンタンで楽しいものだったのか」と衝撃を受ける声が各所で上がっている。

例を挙げよう。
旧来の文法書では「未来形は4つある」とされてきた。
1. will
2. be goint to
3. be -ing(進行形)
4. 現在形
それぞれ「予定」とか「確定的な未来」とか、分かりそうでよく分からない説明が延々と書かれている――これが今までの文法書だ。

本書は、まず英語に未来形なんてないとした上で、それぞれの表現が表す意味の違いをかなり分かりやすく丁寧に解説している。
willの基本イメージは「精神力」。何かを実現しようとしたり、未知のものに対する確度の高い予測をする助動詞。ゆえに”I’ll finish it.”(明日終わらせるよ)、”We’ll make it.”(きっと間に合うよ)といった文脈で使う。
be going toの基本イメージは「ある状況に向かっている流れの中」。従来の教え方では「意図」や「予定」という大雑把な意味の分類であったが、このイメージをつかむことで、
何か買うつもりなのかと聞かれた後の返答の”I’m goint to buy it.”(それ買うつもりなんだ)、
空が暗くなってきたなと言った後に続けて言う”It’s going to pour down soon.”(すぐに雨が降ってきそうだな)、
という文脈で、なぜbe going toが使われているのかもカンタンに理解できる。

その他、「現在完了の意味4つはコアのイメージをつかむだけで攻略完了」「何かとメンドウなtheとaの使い分けだってイメージだ」「mayとかhave toとかshouldとか助動詞だってイメージで一発だ」「onとかforとかamongとかもイメージだ」など、文法に嫌気が差していた人ほど目からウロコの知識が満載。
事実、英語上級者の人ほどその新視点の威力に驚いているので、まさに全英語学習者が読むべき必読の書と言える。
「英文法なんてツマらない」と思っている方は、ぜひ、ぜひにでも読んで頂きたい。
この一冊を読むだけで英語勉強が格段にラクに面白くなることは間違いない。
絵が多く、語り口もかなり柔らかいので、参考書とは思えないほど分かりやすい
当サイトが最もオススメする参考書だ。

なお、本書に登場する例文の難易度はそれなりに高いので、初心者の方は最低でも中学校レベル、具体的には『英文法のトリセツ』シリーズを卒業してから読み始めることをオススメする。

勉強法

読むだけでいい
参考書なのに読むだけでいいのかと驚かれるかもしれないが、そもそも参考書というよりは英文法の読み物なので、練習問題を解いたり暗記したりする必要はない。というかそもそも練習問題なんて無い。
ただ一読するだけでOKだ。
一読するだけであなたの英文法知識はイチから塗り替えられ、驚きとともに英文法の知識がグンと深まる。

難しい例文があったら飛ばしていい
とにかく各章に出てくるコアのイメージをつかむだけでよいので、重要なところだけ拾い読みしていけば数時間でポイントをつかめてしまう

イメージをつかんでしまえば強烈に記憶に残るので、読破した後はたまにパラパラと気晴らしに見返す程度でよい。


ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (語学シリーズ)

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