文法をやらねば英語の勉強は始まらない!

「さぁ、英語を勉強しよう!」と決意したはいいものの、一体何から始めればよいか戸惑ってしまいませんか?
「やっぱり文法からやらないといけないの? でも小難しい話ばかりでつまらないし……」と思う方が多いでしょう。
お気持ちはよく分かります。確かに小難しい部分もあります。文法から始めないでも、一応英語の勉強はできます。
しかし、あえて断言します。
効果的な英語勉強をしたいのであれば、まず文法から始めるべきです。
英語勉強における最初にして最大の難関、英文法。
ここでは、多くの方が誤解している文法勉強の落とし穴を紹介しつつ、なるべく短時間で文法をサクッと片付ける方法をお伝えしていきます。

文法をやらねば英語の勉強は始まらない!

そもそも文法って何だ?

文法って何でしょう?
「言語の体系、およびそのモデル、およびそれをもとにした、ある個別言語の話し手が従うべき規範」とかそういうWikipedia的説明は置いておいて、ものすごく大雑把に言うと、文法とは意味不明な文字の羅列を、言語に変えるものです。
まだ難しいのでもっとカンタンに言うと、知らなかったら外国語なんて学べない超重要なものです。
英語のみならず、ある言語を”話せる人”というのは、頭の中にその言語の文法が入っています。

文字や音の羅列を、意味のある「言語」へと変身させ、他人とのコミュニケーションを可能にする秘密道具。
それこそが文法です。
英語圏で育った人ならば英文法を自然に覚えていくものですが、あいにく我々は日本人です。
大人しくあきらめて「英語学習の第一歩」を踏み出していきましょう。

文法はそんなに大切なのか?

威勢よく文法の勉強を始めたはいいものの、日本語の文法とはかなり異なるため、ここで挫折する人が多いようです。
be動詞、助動詞、疑問形、SVOC、未来形、仮定法、名詞節、関係代名詞、過去形、過去完了形……。
もうイヤだ! 小難しい話はたくさんだ!
というか過去完了形って何だよ! 過去は完了してるものだよ!
と叫んだ人も多いのでは。

文法がイヤになった所で、とある英語を話せる人が現れます。
「文法なんてやらなくていいよ。大事なのは単語とジェスチャーと伝える気持ち!」と、その人は言います。
「そうだ、文法ばかりやっていても仕方ない、日本人は文法偏重主義なんだ、もっと会話力を鍛えよう!」
そう思って文法の勉強を投げ出してしまったことはありませんか?

断言しますが、文法の勉強なしに英語の上達はありえません
「文法を勉強しないで英語が話せるようになった人」というのは、膨大な対話や例文の中から、独自に文法を読み取っていった人なのです。
しかし文法の勉強をせずに、日常会話などから文法を読み取るというのは、強力な記憶力と実戦の場およびそれを教えてくれる人が必要です。
赤ん坊の頃ならこの条件が全て揃っています。
しかし我々は成長した人です。もうあの頃の言語獲得能力はありません。

文法をやらねば英語は話せません。
効率的に、なるべく少ない労力で英語力をアップさせたいなら、最初に文法を勉強してしまうのが一番手っ取り早いのです。

難しい文法を全部覚えなければいけないのか?

「そうは言っても文法は難しい」「いつも仮定法の辺りで挫折する」
そんな声が聞こえてきそうです。

事実、英文法は難しいです。
日本語の文法とは全く違う、ものすごく異質な文法です。

あるデータによると、英語を含むヨーロッパ圏の人々が学習するのに最も「難しい」と思う言語は、日本語・中国語・韓国語・アラビア語だそうです。
それほど隔たっている言語ですから、難しいのも頷けます。

では一体どうすればよいのか。
カンタンです。
難しいところはやらないで勉強しましょう。
それでいいの? いいんです。
難しい文法知識を使う事態に遭遇するのは、英語中級者以上の方だけです。
英語初心者の方は、あとで参考書でも紹介しますが、とりあえず中学生レベルの文法知識があれば充分です。
そうして学習を進めていって、分からない英文が出てきたら、初めて新しい文法を学べばいいのです。

どうも我々は日本人特有の完璧主義を発揮してしまい、「まず文法をカンペキにする!」とばかり文法の全てをマスターしてしようとしまいます。
しかし、それが挫折の原因になってしまいます。
ちょっと気持ち悪さが残るかもしれませんが、勇気を出して、文法はとりあえず中学レベルまでで止めておきましょう。
「英語勉強法 3.わりとテキトーでもいい」を思い出し、「どうしようもなくなったら新しい文法を学ぼう」と気楽に構えるくらいで丁度いいのです。
先は長いですからね。

中学生レベルと言えど侮るなかれ、です。
そのくらいの文法知識があれば、アメリカでとりあえず生活していけるだけの文法レベルには到達しています。
事実、ネイティブの日常会話で使われる英文法というのは、非常に易しいものなのです。
というかネイティブですら間違った文法でしゃべることがよくあります。
さらに、フィリピンやインドなど「第二公用語が英語」という国に行ってみると、「日本の中学生レベルの文法ってかなりレベルが高かったんだ!」と感動すら覚えるはずです。
さあ、何かやる気がわいてきませんか?

難しい文法なんか後回しにして、とりあえず基本の文法を学んでいきましょう。
中級者以上の方は……あきらめて難しい文法を学びましょう(笑)
しかしご心配に及ばず、これも後ほど紹介しますが、「英語勉強法 1.イメージで学ぼう」を活用することで、難しい文法でもカンタンに習得できてしまう方法があるのです。お楽しみに。

オススメの参考書・勉強法

(図解)中学3年間の英語を10時間で復習する本

おそらく日本で最も英文法がカンタンに学べる参考書。
総ページ数が127ページと少なく、カラフルで読みやすい上、文法の重要項目だけが記載されているのでかなり短時間で読み終わることが可能です。
コンパクトにまとまっている分、例文などは少なめなのが唯一の欠点です。
忘れてしまった英文法を思い出したい方、文法をさらっと総復習しておきたい方、「英文法が大キライだからなるべく労力をかけたくない!」という方にオススメです。

なお本書は『カラー版 CD付 中学3年間の英語を10時間で復習する本』の内容を見やすくコンパクトにした物となっています。
全くの英語初心者の方で丁寧な説明文が欲しいという方は、例文が解説が多い『カラー版 CD付 中学3年間の英語を10時間で復習する本』か、下の『安河内哲也の7日間で「中学3年間の英語」復習講義スーパーCD付き』の方をオススメします。

安河内哲也の7日間で「中学3年間の英語」復習講義

時間をかけて中学英文法をしっかり学びたいという方に一番オススメの本です。
色分けが鮮やかで見やすく、イメージや図も多いので比較的とっつきやすいのが特徴です。
ボリュームも有り、重要項目には「ここが要点!」とポイントを示してくれるので、テキトーに読み流すだけでも中学英文法が身に付きます。
例文・解説がかなり多めなので、英語初心者の方に特にオススメです。
逆に、「既に中学英文法はほぼ終わっている」「総復習用にちょっと確認したい」という方には不向きなので、短くまとまった参考書が必要な場合は『(図解)中学3年間の英語を10時間で復習する本』の方を推薦します。

『一億人の英文法』

英文法では間違いなく最強の参考書です。
正直、これ一冊読めば文法はカンペキです。
ではなぜ『英文法のトリセツ』を推薦参考書に挙げたかというと、『一億人の英文法』を読破するには最低でも中学1~2年レベルの文法知識が必要になるからです。

さて、本書『一億人の英文法』は網羅型の文法参考書です。
ページ数は682と長大で、一般的な英文法の全てが網羅されています。

その画期的な特徴として、イメージ重視であること分かりやすいことが挙げられます。

今までの文法参考書って、何となく文字が並んでいるだけの「規則暗記本」が主でしたよね?
『一億人の英文法』は、日本の従来型の文法参考書とは違い、ネイティブがしているようなイメージ重視の文法書となっています。

ちょっと例を挙げましょう。
英語を勉強した人なら、誰もが一度は「定冠詞の”a”と”The”の違いって何? sun(太陽)やmoon(月)には必ず”The”がついて、cat(猫)やdog(犬)には”a”だったり”The”だったりがつくのはどうして?」という疑問につまづく事でしょう。
一般的な参考書を読んでも「”a”は一般的なものに、”The”は特定できるものにつく」とかいう分かるような分からないようなコトしか書いてない……。
『一億人の英文法』ではどう書いてあるのか、ちょっと見てみましょう。

「”the”がつく名詞は、話し手にとっても聞き手にとっても、聞けば「ああアレか」とたった一つに特定できるもの――だと話し手がイメージしているものに対してつく

つまり、話し手が”I have a dog.”(私、犬を飼ってるんだ)と言う時、その聞き手はその犬を知りません。
あるいは、話し手は「ある特定の犬を飼っているということを言いたいのではなく、ただ犬を飼っているということを言いたい」に過ぎません。
対して、話し手が”I have the dog.”と言った時、聞き手は「ああ、こないだ拾ったあのポチね」とその犬を特定できる――と少なくとも話し手は思っているのです。
これでなぜsun(太陽)やmoon(月)に必ず”The”がつくのか分かりましたね。太陽や月はこの世に一つしかなく、明らかに話し手と聞き手の間で「たった一つのもの」に特定できるからです。
月が3つ浮いているような世界だったら、”I want to go to a moon.”(月に行きたいわ)なんてことも言えるわけです。

上で挙げたのは定冠詞の例ですが、同じように、全ての英文法は「規則・決まりごと」で縛られているわけではありません。
ちゃんとしたイメージがあって、ネイティブは知っているので正しい文法を使えるのです。
日本語でも「私は海に行く」「私が海に行く」では何となく意味のイメージが異なりますね。英語でもそうです。文法はイメージです

『一億人の英文法』は、英文法の初歩レベルから大学受験レベルまで幅広く対応している文法書です。
しかも語り口は分かりやすく、何よりイメージ重視なので丸暗記しなくてOK
この一冊を持っているかどうかで、英語勉強の最難関と言われる文法攻略の難易度は大幅に変わってきます。
「お金が無い!」という方も、是非、これだけは買っておきましょう

かなり分厚い書籍ですが、1日に読むべきページ数を決めて、じっくりと読むようにしましょう。
難しいところは流し読みでも大丈夫です。
飛ばし飛ばしでも、読み終えたときにはセンター英語に対応できるくらいの文法知識が手に入っていることでしょう。

音声CDは別売りです。必須ではありませんが、「文法と一緒に発音・リスニングを鍛えたい」という方は併せて買うといいでしょう。

英語超初心者の方ですといきなり『一億人の英文法』から入るのはツラいと思われますので、『英文法のトリセツ』シリーズを先に読んでおきましょう。
「ちょっと挫けそうだから、もう少し軽いのがいいな」という方は、同著者の
『ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (語学シリーズ)』
『ハートで感じる英文法―NHK3か月トピック英会話 (会話編) (語学シリーズ―NHK3か月トピック英会話)』
から始めたほうがいいかもしれません。

Forest

みんな大好き『Forest』です。
受験生の方、英語上級者を目指す方など、英語中級者以上の方にとっては買うべき文法書です。
本書は『一億人の英文法』と同じく網羅型の参考書ですが、こちらは文字通り英文法の全てが集録されています。
かなり使用頻度が低い、難関な文法に関してもほぼ確実に載っているので、特に受験生の方にとってはバイブルのような存在です。
また、『一億人の英文法』と比べ一覧性に富むので、文法辞書として使用されている方も多いようです。
勉強していて読めない英文が出てきた時、手元にあると即座に解決できるため、昔から上級者にも愛用されている文法書です。
あって損はない一冊ですので、この機会に入手しておきましょう。


基本的には上記の参考書を勉強すれば大丈夫です。
しかし、「本だけだと挫折しないか不安」という方は、以下の教材も検討してみるといいでしょう。




3か月で偏差値30→70へ。「1分間英語勉強法」とは?


文法は英語の入り口にして最難関です。
ここさえ乗り切れば、もうあとは下り坂です。
勉強すればするほど楽しくなってくるのはもうすぐです。
頑張って、一気に文法を終わらせてしまいましょう。