英語といえば英単語。
「英語なんて結局、どれだけ英単語を知っているかだよ」と言う人がいます。
それは正しい認識です。基礎ができていれば、知っている英単語の数はその人の英語力に直結します。
「でも、単語の丸暗記ってどうも苦手で……」
大丈夫。英単語には、なるべく丸暗記を避ける効率的な勉強法が存在するのです。
目次
英単語が難しいと思われている2つの理由
なぜ多くの人にとって、英単語を覚えることは難しいことなのでしょうか。
①英単語はアルファベットの羅列なので、ややこしくて覚えにくい
②同じ単語なのに違う意味がたくさんあるので、ややこしくて覚えにくい
という2つの理由が挙げられると思います。
①について見てみましょう。
apple(リンゴ)、dog(犬)などはまぁ確かに文字の羅列ですが、それほど覚えるのに苦労はしないでしょう。
maintenance(維持)、geography(地理学)など、文字数が多くなってくると確かに丸暗記ではキツいですね。
しかもadaptやらadoptやら「よく似てるけど一文字だけ違う、全く別の意味の単語」もどんどん出てくるので、単純に暗記しようとしたら途方もない労力が必要になります。
②の方はどうでしょうか。
run(走る)、sleep(眠る)、love(愛している)などはほぼ一つの意味しかありませんね。
しかしtake(取る、つかむ、買う、使用する)やassume(~だと思い込む、(責任など)をとる)などはどうでしょう。一つの単語に様々な意味があります。
俗に言う多義語です。
多義語は、自分ひとりでは意味を決定できないため、その前後の文脈によってこちらが意味を読み取らねばいけません。
新しい単語を一つ覚えることすら大変なのに、その単語が多義語でいくつも意味があったとしたら……イヤになってきますね(笑)
しかしご安心ください。
覚えるべき単語を、アルファベット一文字一文字すべて丸暗記する必要などないのです。
ネイティブがイメージで単語を覚えてきたように、私たちもイメージで単語を覚えればよいのです。
①については語源
②についてはコアのイメージをつかむ
という強力な武器を使って、英単語をなるべくラクに覚えていきましょう。
勉強法1.語源で学ぼう
maintenance, geographyといった単語は文字数が多く、正確に丸暗記するのは大変です。
sustain, contain, entertain, maintainなど、いずれも語尾が”tain”で終わっている「共通点がある単語」は、複数覚える際にはやはり丸暗記だと混乱してしまいます。
adapt(~を適合させる)とadopt(~を採用する)なんてもはや何かの陰謀レベルのまぎらわしさです。
ネイティブはこうした単語をひとつひとつ完全に覚えているのでしょうか?
その通りです。しかし、丸暗記ではありません。
彼らは語句ひとつひとつの意味をつかんでいるのです。
突然ですがここで一人の外国人の方に登場していただきましょう。
彼の名はベン。アメリカ生まれアメリカ育ちのタフガイで、ちょうどいい具合に日本語を勉強中です。
彼はこんなことを言ってきます。
「ヘイ、助けてくれ。日本の漢字は難しい。
「讃」とか「護」とか、画数多すぎて丸暗記できないよ。
「桜」「梅」「栗」とか、共通してるカタチはあるのに意味が全然違うのはどうして?
日本人はみんなこれを丸暗記してるのかい? 信じられないよ」
そこであなたはこう答えるはずです。
「いや、日本語の漢字には「部首」や「つくり」というものが存在して、漢字のパーツそれぞれに意味がある。当然、漢字の意味もほぼそれに準拠する。
だから、意味やカタチを丸暗記する必要はなくて、パーツの意味やカタチさえ覚えてしまえば、たとえ初見の漢字でも意味を類推することができる」
パーツそれぞれに意味がある。
これは、英語にも共通することです。
たとえばgeography(地理学)は、geo + graphyに分かれます。
geoは大地の女神Gaia(ガイア)に由来する語句なのでその意味は「大地」。
graphyは「書かれたもの、学問」を意味し幅広く使われいている語です。
これら二つを組み合わせることで「大地の学問」すなわち「地理学」となります。
こうした、英語の文字の中に眠る意味を語源といいます。
日本語の「へん」「つくり」と同様に、英語でもパーツの語源さえ覚えてしまえば、暗記の負担は飛躍的に軽減されます。
adaptとadoptだって、adが「~へ向けて」という意味であり、aptが「適合させる」という意味で、optが「選ぶ」という意味(option(オプション)なんてまさにそれですね)であることを知っていれば、もうこの二つを混同することはないでしょう。
語源を知る。意味を知る。
それだけで、長い単語、複雑な単語、まぎらわしい単語を丸暗記する必要がなくなり、慣れてくれば初見の単語でも意味がだいたい分かるようになってくる。
これが語源のチカラです。
勉強法2.コアのイメージをつかもう
さて、多義語はどうやって覚えればいいのでしょうおか。
これは、コアのイメージをつかむことで一気に暗記がカンタンになります。
takeは、それ単体だと「取る、つかむ、買う、使用する」など幅広い意味があり、その全てを暗記するのは困難です。
しかし、takeのコアイメージである「手に取る」さえ覚えてしまえば、”I’ll take it”(それ買うよ)、”I’ll take you to the station”(駅までキミを連れていくよ)など、文脈に沿った訳が自然に理解できてしまうのです。
assumeもそうです。「~だと思い込む、(責任など)をとる」という意味ですが、このままでは2つは全くバラバラの意味で、丸暗記にはキツいです。
しかし、assumeのコアイメージである「受け入れる」さえ覚えてしまえば……「~だと思い込む」「(責任など)をとる」が一気に関連付けられ、あっという間に覚えられてしまいますね。
たとえ個々の意味を覚えられなくても、コアのイメージさえおさえておけば、実際の文中に出てきた時に文脈に合わせて訳すことが可能になります。
いかがでしょう。
しかし「コアのイメージをおさえる」ことのメリットは、多義語の学習に役立つことだけではありません。
もっと強力なメリット、「語句の適切な使い分けができるようになる」というものがあるのです。
look, see, watchはいずれも「見る」という単語ですが、正確な違いが分かり、適切な使い分けができていますか?
lookは動作です。「ん?」と目を向ける動作がイメージです。
watchは「じっと注視する」イメージです。
seeは「向こうからやってくるものが”見える”」といったイメージで、積極的な動作とは少し異なります。
さぁ、たった3行でコアのイメージをつかめました。
これだけの説明で、今まで積もっていた疑問が氷解したと思います。
なぜ「テレビを見る」が”watch TV”なのか。なぜlookではいけないのか。
テレビに移されている番組を「じっと注視する」からwatchなのです。
lookだと、テレビという機械そのものを見るという意味になってしまいます。
“I see.”がなぜ「わかった」という意味になるのか。
seeは大雑把に「向こうからやってくるものが見える」という意味なので、seeという単語は心の動きを表す言葉と繋がりやすいのです。
日本語でも「わからないよ」という意味で「話が見えてこない」とか言ったりしますよね。
単語の深い意味が分かり、適切な使い分けもできるようになり、そのうえ多義語まで攻略できてしまう。
イメージをつかむというのは、単語勉強においても大きなチカラを発揮するのです。
オススメの参考書
英単語語源ネットワーク
「勉強法1.語源で学ぼう」で挙げた、語源の勉強に最適な一冊。
使用頻度の高い英単語とともに、その語源が解説されています。
全体のつくりとしては非常に丁寧で、網羅性にも優れています。
多くの単語を覚える必要がある受験生に特にオススメです。
また、読み物としてもかなり面白いので、英語を勉強している方なら一読の価値ありです。
この一冊で主要な語源を覚えてしまえば、英単語の勉強の負担が大幅に軽くなるコトは間違いありません。
ぜひ単語集と一緒に手に入れておきましょう。
英単語イメージハンドブック
「勉強法2.コアのイメージをつかもう」で挙げた勉強法の参考書に最適です。
基本的な単語にしぼってイメージの解説がされてあり、これを読み終える頃には基本的な代名詞・動詞・形容詞・副詞・前置詞などの使い分けはカンペキになっているでしょう。
やはり英語は基本からです。
これを読んでいるかどうかで英語力の差はかなりついてきます。
英語初心者の方からオススメで、上級者の方でも「目からウロコ」なことが多く載っていますので、早い段階で読んでおきましょう。
文体がかなり柔らかく、解説がすさまじく分かりやすいのもポイントです。
システム英単語Basic
単語集。
「初心者から中級者まで使える単語集は何か」といったら、まちがいなくこれです。
なお上級者の方には、もう少し難しい『システム英単語』が刊行されています。
『システム英単語』シリーズ最大の特徴は、ミニマルフレーズ、第1章、多義語の章にあります。
「ミニマルフレーズ」で単語のみならず語法・熟語も一緒に覚えられ、第1章でかなり基礎の英単語の使い方も分かり、多義語の章では実生活・大学受験に頻出する多義語を学習できます。
特にミニマルフレーズは画期的でぜひ活用していただきたいのですが、余白が足りないので以下のリンクで詳しく解説します。
詳しい解説はこちら → システム英単語Basic
DUO 3.0
単語集。
文法をある程度マスターした受験生・ビジネスマンの方なら絶対にやるべき単語集。
重要単語1600語と重要熟語1000語を、560本の短い英文にまとめた一冊で、なんと1時間で復習が可能。
記載されている語句も使用頻度が高いものばかりで、受験英語のみならず会話もおさえてあり、大学受験・TOEIC・ビジネス英語・日常会話と非常に幅広くカバーされている。
一文に詰め込まれた情報量がかなり多いので、一周目はかなり時間がかかるでしょうが、二周目からはかなりラクになるはずです。
1日10本ずつでもいいので、着実にやっていきましょう。
正直なところ、英単語・英熟語はこれと『システム英単語』シリーズさえあれば十分です。
『システム英単語Basic』で基礎を固め、『システム英単語』と『Duo3.0』で幅広い英単語に対応していきましょう。